ゼラチンとは
ゼラチンとはラテン語の「固化するのも」の意味をもつ「ゼラーター」から変化した名称で、『コラーゲン』というタンパク質から出来ている「ゲル化剤」の一種です。
用途に合わせ 板状、粉状、顆粒状の3タイプがあります。
ゼラチンは何からできている?
ゼラチンは主に豚と牛の骨、皮から作られてます。
牛や豚の皮や、砕いた骨を下処理し50~100℃で数回に分け、煮てゼラチンを抽出します。
少し特殊ですが、魚の皮や鱗から抽出するフィッシュゼラチンも存在しています。
ゼラチンは なぜ固まる?
ゼラチンの主成分『コラーゲン』は動物の皮膚、腱、軟骨などを支える細胞外基質の主成分であり、コラーゲンは水に漬け加熱することにより液状化(ゾル化)し、冷やすと凝固化(ゲル化)する性質があり、これを可逆的に繰り返せる特性を持っています。
ただし、加熱時の温度が高すぎるとコラーゲンが壊れて その特性も失われてしまいます。
ゼラチンはそんなコラーゲンの性質を活かして素材を固める事ができるのです。
ゼラチンの種類と使い方
ゼラチンには「板ゼラチン」「粉ゼラチン」「顆粒ゼラチン」の3種類があり、それぞれの使い方と特徴を紹介していきます。
板ゼラチン
板状になっていて1枚当たりの重さが一定で計量が楽にできます。
冷水に20分程 漬けて十分水分を切り、50~60℃に温めた液体に入れて溶かして使います。
※冷水の量が少ないと、板ゼラチン同士がくっついてしまい中心までふやかせないことがあるので、一枚ずつ剥がし漬け置きする冷水の量は多めにします。
一枚当たりの重さが決まっていて計量が楽な為、洋菓子店でよく使われるゼラチン。
※冷水の温度は10℃以下、氷水が一般的
粉ゼラチン
粉状で1gから手軽に計量できるゼラチン。
ゼラチンの5倍の量の冷水の上から振りかけるように加え、しっかり水分を吸水させ湯煎で溶かして使用する。
粉ゼラチンの上から冷水をいれたり、冷水に一気に加えるとダマにってしまいます。
少量からでも使用しやすいので、家庭などでよく使われているゼラチン。
顆粒ゼラチン
粉ゼラチンを更に細かくし液体に溶けやすくしたゼラチン。
ふやかす手間がいらなく、50~60℃に温めた液体に直接入れて溶かして使用します。
他の2種類に比べ高価ですが、ふやかす手間が無いので、短時間で繰り返し仕込む大規模工場などで使用されているゼラチン。
ゼラチンの使用量の計算
オリジナルのお菓子を作る際よく悩むのが、ゼラチンの使用量。
似たようなレシピを参考にするのも良いですが、参考になるものが見つからない、そんな時もあります。
ゼラチンはメーカーやグレードにより固まり方が違いますが、基本は固めたい物の合計水分量の2~3%の使用量(ふやかす水分量も計算に入れます。)となっています。
例えば、100gのコーヒーをゼリーにしたいときは2~3gのゼラチンを使用します。
ただ、ムースなどを作る際は上記の計算だと固くなりすぎてしまいます。
それはムースには生クリームや牛乳などを使用しているからで、生クリーム、牛乳は水分+脂肪分から出来ていて、脂肪分がある分ゼラチンの量を減らさなくてはなりません。
レシピを作る際の目安)
固めたい対象100g ゼラチンの量 水 2g 牛乳 1.7g 生クリーム 0.9g
上記表の計算で ピューレ100g、生クリーム100gでムースを作る際必要なゼラチンの量は約3gとなります。
※卵を使用する場合は卵も水分として計算してください。
また、夏場はゼラチンが固まりにくい為、2~3割増やしてあげると良いです。
※あくまで目安となっているので、いちど上記の計算で試作し、調節してください。
ゼラチンが固まらない
ゼリーを作った時、なぜか固まらない、固まり方が弱いといった事がありませんか?
それは 固めようとしているものに含まれる酵素の影響か、ゼラチンを加熱し過ぎている事が大半の原因です。
たんぱく質分解酵素
固まらない原因は固めようとしているものにある。
フルーツの中には たんぱく質を分解してしまう『たんぱく質分解酵素』をもっているものがあります。
例) パイナップル、キウイ、メロンなど
こういったフルーツを生で使用すると、たんぱく質分解酵素によってゼラチンが分解されてしまい、固まらなくなってしまうのです。
たんぱく質分解酵素は熱に弱く、加熱すると酵素の働きが失われます。
なのでパイナップルなどでゼリーを作る際は、加熱処理をしてから使用するか、すでに加熱処理さている缶詰のものを使用するとよいです。
ゼラチンは高温に弱い
ゼラチンは50~60℃で溶け始めますが、それ以上の温度にすると変質を起こし、固まりにくくなってしまいます。
よくあるのが、水でふやかしたゼラチンを電子レンジで溶かしてしまう事です。
電子レンジでの温度調整はとても難しく、部分的には高温になりゼラチンの凝固力が低下してしまいます。
必ずゼラチンを溶かす際は湯煎を使用してください。
ゼラチンは健康食品
ゼラチンを構成する『コラーゲン』は人の体を構成する重要なたんぱく質で、ゼラチンを摂取することで、血管疾患の予防、美肌効果、関節痛の予防が期待できます。
一日のゼラチン摂取目安量は個人差もありますが 5~10g(新田ゼラチン公式サイトより)と言われていて、それ以上摂ると体内で吸収しきれずに脂肪として蓄積してしまう恐れがあるので、摂取のし過ぎは禁物です。
おすすめの摂り方は、夕食後のコーヒーやお茶にそのまま加えるだけで溶ける顆粒タイプのゼラチンをティースプーン半分程度加えて飲む方法です。
加えすぎると動物匂やトロミが出てしまいますので、このくらいの量が丁度よいと思います。
ゼラチン以外のゲル化剤
ゲル化剤はゼラチン以外に、海藻、植物から作られる「カラギーナン」「寒天」「ペクチン」などがあります。
これらのゲル化剤を本格的に紹介していくと長くなってしまうので、ここでは簡単な紹介にとどめておきます。
カラギーナン
カラギーナンまたはアガーと呼ばれるゲル化剤、スギノリやツノマタといった海藻から作られます。
ゼラチンに比べ溶解温度が高いので常温でも安定する。
保水性と固形性が強いのでクラッシュゼリーなどにお勧め。
寒天
テングサやオゴノリといった、こちらも海藻由来のゲル化剤。
ゼラチンに比べ溶解温度が高いので常温でも安定する。
保水性は弱く固形性が強い、羊羹やところてん などに使われる。
ペクチン
リンゴや柑橘類などから抽出されたゲル化剤。
ジャムや、洋菓子のフルーツの艶出しに使われるナパージュなどに使用されている。
コローの一言
この記事は自分のノートとしての意味が強い記事となっています。
オリジナルのケーキの配合を作る際、昔のノートや教科書を引っ張り出してゼラチンの使用量を計算するのが手間だったので、スマホで簡単に見れるようにと書きました。
ただ、ゼラチンにこんな健康効果があるのには驚きでした。
記事を書くにあたり参考にした本に記載されていて、勉強になりました。
撮影用に購入した顆粒ゼラチンの使い道に困るかなと思っていたのですが、ただ入れるだけと手軽に使えるので、お茶に入れて飲んでいたら以外に減っていきます。
お茶にいれると喉越しに ややトロミが付いた感じがして なんとなく美味しくなった気もする。
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