生クリームの種類と特性、正しい泡立て方・硬化油に含まれるトランス脂肪酸とは。

生クリームの種類

生クリームの種類と特性、正しい泡立て方・お菓子を作る際の生クリームの知識、体に悪いと言われるトランス脂肪酸とは。

生クリーム

生クリームとは加工前の牛乳 生乳を遠心分離機にかけ乳脂肪の濃度を18%以上にした添加物が加えられていない乳製品の事です。

動物性生クリーム

乳脂肪を植物性脂肪で代用した植物性生クリームもあり、正確には生クリームではなく法規上生クリームと表記できないのでホイップと表示されています。

植物性生クリーム

この記事では わかりやすいように『動物性生クリーム』と『植物性生クリーム』と呼ぶことにします。

動物性生クリーム

動物性生クリームの原料は生乳のみので乳脂肪分は18%以上。
一般的には35%~47%のものが販売されています。

動物性生クリーム表記

植物性生クリーム

植物性生クリームの原料はパーム油(アブラヤシ)やヤシ油(ココナッツ)の植物油脂を脱脂粉乳などと乳化剤で合わせたもので動物性生クリームに比べると賞味期限が長い。
(※注) 植物性といっても成分に脱脂粉乳等が入っているので乳アレルギーの方は注意してください。

植物性生クリーム表記

ケーキに使うには動物性?植物性?

動物性・植物性生クリームはそれぞれ長所と短所があるので、それを理解して使い分けるとよいです。

動物性生クリーム

価格が高い。
乳の風味がある。
泡立てすぎるとすぐにボソボソになるので扱いが難しい。
ケーキのコーティングや絞りを手際よくこなせる方に向いています。

植物性生クリーム

価格が安い。
味が薄い。
泡立てすぎてもボソボソになりにくいので扱いやすい。
ケーキのコーティングや絞りに慣れていない方に向いています。

両方のクリームの良いとこを合わせる

ケーキ作りに慣れていなくても乳の美味しさが楽しめるケーキを作りたいですよね、そんな方にお勧めなのは『動物性と植物性生クリームを合わせる方法』です。
動物性生クリームと植物性生クリームを1パックずつ混ぜて使用するのがお勧めです。

そうする事で乳の美味しさがあり口当たりの軽いクリームになります。
コーティングや絞りも行いやすく価格も抑えられます。

最近は口当たりが軽い生クリームが好まれる傾向もあるので、あえてこの方法を取ってるパティスリーもあります。

生クリームのパーセントは乳脂肪分

生クリームの容器に記載されているパーセントは含まれている乳脂肪分の量になります。

生クリームの脂肪分表記
脂肪分の高い生クリームの特徴

・濃厚な口当たり
・泡立てに時間がかからない
・分離しやすい
・固形力が強い
・価格が高い

濃厚で固形力が強いがボソボソになりやすく扱いが難しい。
コーティングに手間取っているとすぐに黄色っぽく変色しボソボソになる。

脂肪分の低い生クリームの特徴

・軽い口当たり
・泡立てに時間がかかる
・分離しにくい
・固形力が弱い
・価格が安い

ケーキのサンドに使用する場合は固形力が弱いので型崩れを起こしやすい。

生クリームに加える砂糖の量

生クリームを泡立てる際に加える砂糖の量は生クリームに対して6~10%が日本人好みの甘さです。
なので生クリーム1パック(200㎖)に対して12g~20gが適量です。
また15%を超えると砂糖の吸水性が邪魔をして生クリームの泡立ちが悪くなってゆきます。

生クリームが泡立つ原理

クレームシャンティー

生クリームは水分の中に脂肪球という球体状の脂肪が存在し、それらがホイッパーの振動で衝突しあい、空気をとり囲むように結合してふんわりと泡立ちます。
更に泡立て続けて脂肪球どうしの結合を強めると、間に入っていた空気や水分が押し出され水分と乳脂肪のかたまりに分離してしまいます。

「買い物の際に自転車のカゴに生クリームを入れて帰ると容器の側面に乳脂肪のかたまりが付いていたとう経験はありませんか?」・・ 私だけかな(^^;
それは自転車の振動が容器に伝わり脂肪球どうしが結合を起こしてしまったからです。

だけど同じ生乳から出来ている牛乳はそんな事になりません。
牛乳はホモジナイズという脂肪球を細かく粉砕する工程を行っているので生クリームみたいに泡立つことはありません。

生クリームは冷やしながら振動させるように泡立てる

脂肪球は温度変化に敏感で、温度が高いと柔らかくなりその状態で泡立てると泡立ちは早いですが、雑な結合状態を造り、滑らかな口当たりは失われ固形力も弱いクリームとなってしまいます。

生クリームの良い泡立て方は、『氷水を下に当てクリームの温度を10℃以下に保ちながらホイッパーで生クリームを振動させるように泡立てます。

氷水と生クリーム

ガシャガシャ泡立てるとボールとホイッパーの接触で黒いツブツブが発生してしまいます。

コンパウンドクリーム

上記で動物性と植物性の生クリームを合わせる方法を紹介しましたが、これはコンパウンドクリームと呼ばれています。
コンパウンドクリームは作業性も良く価格も抑えられるので大手菓子メーカーはほぼこのコンパウンドクリームを独自製造して使っています。

自社の大きなタンクで動物性油脂と植物性油脂、脱脂粉乳、乳化剤、香料などを混ぜ合わせオリジナルのクリームを作っています。
コンパウンドクリームは工場の長いラインに流しても劣化しにくく、輸送にも強いので大規模生産には欠かせないものとなっています。

植物性の生クリームは体に悪い?トランス脂肪酸とは

『よく植物性の生クリームは体に悪いと言われます。』
その原因はクリームの製造工程にあり、原料となる植物性油脂は液体なのですが、それを固形化(半液体状)『硬化油』にする際に熱を加えながら水素を結合させてゆきます。
その際、一部に意図しない水素の結合状態が発生してしまい それをトランス脂肪酸と呼びます。

植物性油脂


海外の研究では このトランス脂肪酸を取り過ぎると動脈硬化などの健康被害を起こすという結果が出ています。
『2009年に「花〇」が売れ筋商品 健康クッキングオイル「エ〇ナ」をこれを理由に販売を取り止めたのは記憶に残る出来事でした。』

ただしトランス脂肪酸は自然界にも存在していて、生乳にも微量に含まれ生乳を原料とする動物性生クリームにも微量に含まれています。

『トランス脂肪酸が危険視されるのは身の周りの多くの食品に含まれていて過剰摂取傾向になりやすいという事です。』
『一概に植物性生クリームが危険なのではなく、トランス脂肪酸を含む食品の摂り過ぎが体に悪いという事なのです。』

メーカーも日々の努力で以前より商品のトランス脂肪酸含有量を減らしています。
私が当時働いていた某菓子メーカーでもコンパウンドクリームの製造方法を大きく見直しました。

コローの一言

生クリームについてなんだかんだ記載してきましたが、私は動物性の生クリームのが好きです。
『美味しいから』
ケーキを作る際は高脂肪と低脂肪の動物性生クリームを合わせ口当たりと固形力を調整して作っています。
47%と35%の生クリーム 半々ぐらい、砂糖は7.5%辺りが固形力もあり口当たりも優しいので良いかと。

動物性にしても植物性にしても食べ過ぎは体に害なので洋菓子はご褒美のひとときにどうぞ。

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