和栗のモンブランの特徴
栗の種類
栗には様々な品種がありますが、世界的にみると4大栗と呼ばれる『洋栗』『和栗』『中国栗』『アメリカ栗』の4種類の栗に分かれます。
身近なお菓子では「洋栗はモンブラン」「和栗は栗きんとん」「中国栗は甘栗」などに使われています。
アメリカ栗は感染症で数が減ってしまった事もあり、市場にはほとんど流通していません。
4大栗の味は「洋栗は強いコク」「和栗は強い風味」「中国栗は強い甘味」が特徴といわれています。
『栗は鮮度の良いうちは風味は強く甘味が少ない。熟成させると風味は落ちるが甘味が出てくる特性があります。』
洋栗のモンブランは海外から輸入するペーストを使うので熟成も進み、栗本来の風味は弱い。
和栗のモンブランは国内で採れる栗を使うので鮮度が良い状態でモンブランにすることができ、和栗の特徴を活かした風味の強いモンブランを作る事が出来ます。
つまり、和栗のモンブランは風味が強く甘さが控えめなモンブランが多いのです。
今回は都内周辺にある和栗を使ったモンブランのお店に行ってきました。
ウィーン菓子工房 Lilien Berg(リリエンベルグ)
神奈川県川崎市麻生区にある『ウィーン菓子工房 リリエンベルグ』
言いわずと知れた有名店。
おとぎ話の世界に迷い込んでしまったような魅力的な建物と、名品ザッハトルテなどが有名です。
訪れたのは平日の午前中。
感染症予防の入場制限ということもありますが、駅から離れた立地にもかかわらず人の列が出来ていました。
徒歩だと最寄り駅小田急新百合ヶ丘駅から15~20分程。なので駅からバスがおすすめ。
お店の脇に駐車場もあるのですが、場所によっては入庫が難しく運転に慣れていない方は少し大変かもしれません。
リリエンベルグのモンブランは9月~10月頃にかけての季節限定となっています。
モンブラン 850円(税込み)
熊本から採れたての鮮度の良い旬な栗を空輸してお店でペーストにしています。
ペーストは煮詰めから裏ごしと、手間と時間がかかるのでお店で作るのはとても難しい事です。
鮮やかな黄色は栗を新鮮なうちに甘露煮からペーストにして出来る栗本来の色。
【断面】
下から ダコワーズ、生クリーム、栗の甘露煮、マロンクリームというシンプルな構成。
【味の感想】
箱を開けると和栗の優しい香りが漂う。
ふんわりとしたマロンクリームとホクホクの栗のシロップ煮、全体を調和させるような甘さを抑えた生クリーム、ダコワーズのアーモンドの旨味。
口に広がる優しい風味と柔らかな食感、洋菓子なのに日本の秋を感じられる。
軽い口当たりで後味も良く、1つ食べるとまた1つと食べたくなってしまいます。
『新鮮な和栗の風味があふれる優しいモンブラン』
店舗情報
ウィーン菓子工房 リリエンベルグ
所在地:神奈川県川崎市麻生区上麻生4丁目18−17
TEL:044-966-7511
パティスリー SATSUKI(サツキ)
東京都千代田区紀尾井町のホテルニューオータニの中にある『パティスリー SATSUKI』
日本を代表する国際ホテルのスウィーツを頂けるお店。(テイクアウトも可)
サツキはロビー階という階層にあるのですが向かい方がわからず、意を決して高級車の発着するホテルフロント入口から入店・・。
とても豪華な内装、エレベーター前では政界大物と同じ名前(別人だと思うけど)が混じる難しい会話を行うスーツの人達、ただお菓子を買いに来た私にはすごい場違い感。(・・;)
恐らく入りやすい入口が他にあったのだと思います。
なんとかパティスリーサツキへ到着。
となりにピエール・エルメ日本1号店も併設しています。
サツキには期間限定の左「スーパーモンブラン」と定番商品の右「新モンブラン」の2種類の和栗モンブランがあり、スーパーモンブランは9月~1月頃の期間限定となっています。
スーパーモンブランはその時期旬な栗『利平』『銀寄』『人丸』を切り替えて作っています。
スーパーモンブランと新モンブランのサイズ感はこんな感じ。
【左】 スーパーモンブラン 3750円(税込み)
【右】 新モンブラン 980円(税込み)
【断面】
【右】新モンブラン
下から タルト、栗入りのダマンド、栗の渋皮煮、生クリーム、マロンクリーム
【左】スーパーモンブラン
下から タルト(少し固めのフィナンシェの様な食感)、黒蜜あんこ、白あん抹茶くず餅、生クリーム、栗の甘露煮、マロンクリーム、表面と中間層に隠し味程度に ひんぎゃの塩
【味の感想】
新モンブラン
サクッとしたタルトの食感の中にとしっとりとしたダマンド、岩間産の栗をブレンドた濃厚なマロンクリームがぎっしりと詰まっていて、洋酒が心地よく香り和栗の香りは薄め。
表現は変ですが、『ずっしりと濃厚な洋風 和栗モンブラン』
スーパーモンブラン
和栗の優しい香りが口に広がる。噛みしめると旨味が染み出てくるタルト、あんこと くず餅がペーストの濃厚さを打ち消し口当たりをまろやかに、味を引き締めるように微かに塩の塩味。
全ての素材にこだわりが詰まっている豪華な作りとなっています。
新モンブランは洋酒の香りを前面に出しているが、スーパーモンブランは洋酒を使わず良質な和栗の香りを前面に出している。
少しサイズが大きいので2~3人で食べるのがおすすめです。
『一流ホテルがこだわり抜いた究極の和栗のモンブラン』
「お値段もスーパーでした(^_^;)」
※スーパーモンブランはその年によって少し構成が変わるみたいです。
店舗情報
パティスリー SATSUKI
所在地:東京都千代田区紀尾井町4−1 ロビィ階 ザ・メイン
TEL: 03-3221-7252
Patisserie Kyohei Mikami(パティスリー キョウヘイ ミカミ)
東京都世田谷区上野毛にある『パティスリー キョウヘイ ミカミ』
フランス菓子に和を融合させた独創的なスウィーツのお店。
アシェットデセール(皿盛りデザート)をテイクアウトする事ができます。
パン・スウィーツのコンサルタント会社が運営していて、2022年にオープンしたばかりのスウィーツのコース料理も頂ける新しい形態のパティスリー。
まるでブティックみたいで お店の前に到着すると店員さんが扉を開けて迎え入れてくれました。(混雑時だった場合はそんな対応は難しいと思う)
洗練されたショーケースとスウィーツ達。ショーケースに無い商品はタブレットのメニューを見て注文すると10~15分ほどで仕上げてくれます。
タブレットに映る商品はどれも まるで美術品のよう。
『黒雛』くろひな 1700円(税込み)
SNSで一目惚れそた和栗のモンブラン、上に添えられた花穂紫蘇も美しい。
マロンクリームが黒いのは竹炭が練り込まれているからで熊本産の和栗を使用。
土台にはビールと日本酒を使ったメレンゲと構成も斬新。
【断面】
下から 日本酒とビールのメレンゲ、カスタード、スポンジ、栗のペーストに包まれた渋皮栗の甘露煮、生クリーム、竹炭入りのマロンクリーム
【味の感想】
極細の口金で絞り出したマロンクリームは細くとも一本一本存在感があり、ほくほくの栗ペーストに包まれた渋皮栗の甘露煮、カラメリゼされた土台のメレンゲはしっかり固く香ばしくてビールのほろ苦さと日本酒のフルーティーさが微かに広がる。
上に添えられた花穂紫蘇(シソの花)を散らすとまた違った味わいも楽しめる。
『観ても食べても美しい和を融合させたモンブラン』
店舗情報
Pâtisserie Kyohei Mikami
所在地:東京都世田谷区上野毛4丁目22−2 KAYAH KAMINOGE 1F
TEL: 03-5491-5181
和栗や
東京都台東区谷中にある『和栗や』
和洋の栗菓子、焼き栗、生栗、栗おこわ、栗アイス等、和栗の専門店でありデセールタイプのモンブラン ブーム発祥のお店。
お店は日暮里駅から歩いてすぐの昭和のレトロ感が残る商店街「谷中銀座」の中にあります。
定番のモンブランは『モンブランデセル』なのですが、9月末から11月末にかけて茨城の岩間産の『人丸』という希少な栗を使用した『プレミアムモンブランHITOMARU』が食べられるのです。
そんなHITOMARUを求めるお客さんは多く、開店2時間前の9時から整理券が配布され開店時間に立ち寄っても食べられないほどの人気となっています。
※こちらのモンブランはテイクアウトは出来ず店内イートインのみとなっています。
プレミアムモンブラン『HITOMARU』ほうじ茶セット 2300円(税込み)
必ずドリンクとセットになっています。
店内イートインという事で自前の道具が使えず断面を見せる事ができなかったのですが、メニューに構成が書いてあったので写真を載せさせていただきます。
下から メレンゲ、生クリーム(無糖?)、マロンクリームというとてもシンプルな構成
メレンゲと生クリームはマロンクリームに比べると極少量。
追加で『追いモンブランエア』 500円を注文すると食べ終えたお皿に目の前で追加でマロンクリームをしぼってもらえます。
追いモンブランエアは目の前で絞り出してもらえる楽しさと、絞り出した瞬間の1番フワッとしたマロンクリームを食べる事ができるサービスです。
上にスプーンで生クリームも添えてくれます。
【味の感想】
離れていても香る和栗の上品な香り、ふんわりと空気を含んだマロンクリーム、含まれた空気からも和栗の香りが広がり、今まで食べたモンブランの中で1番ふんわりとしていて香り高い。
ほとんどの部分がマロンクリームとなっているのでもはや、モンブランというより皿盛りのマロンクリームを食べているという贅沢ぶり。
しっかりとした量もあり一皿たべるとお腹もいっぱいになります。
『 良質な和栗を堪能できる出来たてのフワフワモンブラン』
店舗情報
和栗や
所在地:東京都台東区谷中3丁目9−14
TEL:
ASTERISQUE(アステリスク)
東京都渋谷区上原にある『パティスリー アステリスク』
洋菓子の国際大会で数々の入賞をしている日本を代表するシェフ和泉光一さんのお店。
小田急 代々木上原駅から徒歩4~5分ほどの場所にあるのでアクセスもいい。
スウィーツと一体になった白を基調とする店内は、色鮮やかなマカロンなどがまるでデコレーションケーキを彩っているかのよう。
厨房には和泉光一シェフの働く姿が見えます。
モンブランシャルム 830円(税込み)
最近リニューアルされ、モンブランクレメからモンブランシャルムとなりました。
愛媛産と熊本産の栗をブレンドしたマロンクリーム、アーモンドダイス入りの分厚いメレンゲにマスカルポーネを加えた生クリームが特徴のモンブラン。
【断面】
縦に長いフォルムが特徴で、カットする際に少し倒してしまいました(すみません)。
下から ホワイトチョコがコーティングされたアーモンドダイス入りメレンゲ、マスカルポーネ入りの生クリーム、栗のシロップ煮、マロンクリーム
【味の感想】
香ばしく焼かれたメレンゲはサクッとした食感と溢れる旨味、濃厚なマロンクリーム、洋酒がふんわりと香り、マイルドで甘さを抑えた生クリーム、アクセントにカリッとしたアーモンドダイスと風味。食感、味覚、嗅覚、視覚 様々な感覚が満たされる。
『五感を楽しませ満たしてくれるモンブラン』
店舗情報
アステリスク
所在地:東京都渋谷区上原1丁目26−16 TTSビル 1F
TEL: 03-6416-8080
コローの一言
味の感想はあくまで私の独断と偏見によるものなので参考程度にとらえてください。
モンブランのマロンクリームには黄色と茶色がかった2種類がありますが、これはペーストの製造工程の差で変わるものです。
ペーストにする前のシロップ煮で甘露煮にするかマロングラッセにするかで変わってきます。どちらも糖蜜で煮るのですが、マロングラッセは何度も煮る工程を繰り返し糖度をより高くするので仕上がりが茶色がかってきます。
なので黄色いモンブランは甘露煮から、茶色いモンブランはマロングラッセから作ったペーストを使っているのです。
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