『緑寿庵清水』日本で唯一の金平糖専門店 | 金平糖の歴史・1粒に2週間もの時間が必要

金平糖の歴史

 

金平糖

 

金平糖とは1569年の南蛮貿易でポルトガルから伝わった南蛮菓子の一つです。
南蛮菓子とは、当時とは多少 形は変わってしまっていますが、カステラ・丸ボーロ・カルメ焼・金平糖などになります。
当時、日本で砂糖は大変貴重なものであり、それを踏まえて宣教師ルイスフロイス戦国大名信長に献上した事で日本に伝わりました。
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献上された金平糖は現在の物とはだいぶ違っていて、『透明感はなく』『トゲも低く』とても固い飴のような、コンフェイトというお菓子でした。
今でもポルトガルでは、コンフェイトは当時の形のままで作られ、販売されています。
コンフェイト

ポルトガルのコンフェイト

 

江戸時代に入り、長崎の日本の職人が独自の技で金平糖を作るようになり、
明治の大阪で機械化された製造方法が考案され、段々と一般的に広がっていくようになりました。


 

金平糖の製造方法

 

核に糖蜜を短時間で凝固させて作る方法と
核に糖蜜を少しずつコーティングして長い時間をかけて作る
2通りの製法があります。

 

前者の製法は、噛むとザラザラとした大きな粒に砕け、風味は ほぼ無く、
一般的にスーパーなどで買える安価なものです。
後者は噛むと程良い固さがあり、砕いた時に中に閉じ込められた風味が広がる、
江戸時代から続いている伝統的な製法です。
核には『ザラメ』や『イラ粉』などを使用しています。
昔は『ケシの実』を使用してたようです。

ここからは後者の製法を紹介していきます。
核となるザラメ糖やうるち米を砕いたものをベースに、大きな鍋でかき混ぜながら少しずつ『糖蜜を纏わせ』『寝かし』を繰り返し約2週間のも時間をかけて大きくしていくという方法です。

 日本で唯一の金平糖専門店 緑寿庵清水銀座店に行ってきました。

 

緑寿庵清水銀座店

 

ここで詳しい製造工程を教えて頂いたので、紹介させていただきます。

 

金平糖専門店緑寿庵清水とは

緑寿庵清水

創業1847年で京都の右京区に工房兼本店を構え
る、日本で唯一の金平糖専門店になります。
店舗は 京都に2店舗 東京に1店舗展開しています。

 

現在は5代目が受け継いでいて、代々一子相伝で技を継承し、
その技はコテ入れ(金平糖を混ぜる技術)10年
蜜かけ10年 計20年もの修行が必要になるそうです。

 

ベースとなる核は、基本『いら粉』や『あられ』等の餅を使用し

金平糖の核


 

斜めに傾けた大きな釜で転がして熱を付け

金平糖製造


 

シャクで少しずつ糖蜜をかけながらコテで混ぜていきます。

金平糖製造

 

金平糖製造


 

この工程を繰り返しながら、

画像の左から1日目(核)→3日目→8日目→14日目と徐々にトゲトゲが出てきてサイズも大きく育ってます。

 

金平糖製造

 

金平糖には固定されたレシピがなく、
その日の気温や天候によって職人が蜜の濃度・釜の角度・温度を調節し
果汁などの酸や油分が加わると砂糖は通常、凝固しにくくなるのですが、
緑寿庵清水では蜜柑巨峰などを使用して、様々な風味の金平糖を完成させています。

 

京都店と東京店では商品のラインナップが全て違っていて、
天然サイダーの金平糖(京都)→銀座ソーダの金平糖(銀座)シュワッとする感覚がプラスされている
バニラの金平糖(京都)→リッチネ・スバニラの金平糖(銀座)バニラビーンズが加えられている
など、銀座店の商品はワンランクグレードが高くなっています。

店の雰囲気も大きく違っていて、京都店は純和風なのに対し、
銀座店は白を基調としたお洒落なコスメショップの様な感じ。

 

緑寿庵清水銀座店

緑寿庵清水銀座店

 

金平糖のトゲ

 

金平糖のトゲが出来る理由は正確には解明されていないのですが、
釜で糖蜜をまんべんなくコーティングする際に副次的に発生してしまうそうです。

 

一説によると、『釜と接触した面の糖が固まり隆起し、隆起した部分がまた釜と接触してだんだんと大きくなっていくようです。

 

不思議な事に、同じ大きさの金平糖は同じ数のトゲができ、
昔の職人はトゲの数をコントロールし、幕府などに献上するものは、
トゲの数を、難しいとされる36個に調整し献上していたそうです。

 

食べてみた感想

今回買ってきたものを紹介します。

にじの星』という京都店では『小袋』にあたる一番人気の商品です。

味の種類も豊富で、選ぶ楽しみもありました。

にじの星

ホログラムの箔押しで、高級感のある箱

 

にじの星

『リッチネス・バニラの金平糖』と『銀座ソーダの金平糖』です。

『リッチネ・スバニラの金平糖』は、中にバニラビーンズが入っていて、
京都店の『バニラの金平糖』と比べると、濃厚でミルクとバニラの風味を味わえる。

『銀座ソーダの金平糖』は京都店の『天然水サイダーの金平糖』にシュワッとする食感がプラスされていて、懐かしさと新しさが合わさっている

京都でソーダ味は開店してすぐ売り切れてしまう事が多く、
私も京都店では苦労して手に入れた記憶があります。
ですが東京では普通に購入できて、穴場感がありました。

 

究極のシャンパンの金平糖

数量限定ですが、シャンパンを使用した高級金平糖もありました。

本店では地酒を使用したものあったり、中には予約が必要で数年待ちのモノもあるようです。

値段は京都より東京店のが高く、小袋(京都)約600円に対し、
にじの星(銀座)は約1000円 。
恐らく、銀座は土地代などが高いので、京都店と同じ値段で販売する事が難しく、
プレミア感を足した金平糖を銀座の価格で販売しているのだと思います。

私個人としては、京都店はベーシックな味を楽しめ、銀座店は洋菓子にも似た、
お洒落な味を楽しめる お店かなと感じられました。

 

 コローの一言

金平糖は口の中で溶かすのでなく、噛み砕くいて食べるのが一番良い、
金平糖の風味が弾けるように口いっぱいに広がるのでお勧めです。

400年以上も前に遠い海の向こうから来て、
当時は作り方も普及していなく、一部の上流階級のみ許された贅沢であり、
長い年月を掛けて、日本の職人が独自に作り方を模索し伝え続け、現在でも1粒作るのに2週間もの時間がかかってしまう、そして自然と星の形になってしまう。

何百年もの時を流れてきた流れ星みたいで、ロマン溢れるお菓子だと思いませんか?

緑寿庵清水の金平糖はとても美味しかったです。

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