小麦粉は大きく分けて3種類あります
含まれるたんぱく質量が低い順に
中力粉 ー うどん・お好み焼き に向いている
強力粉 ー 食パン・パスタ に向いている
小麦粉の原料小麦には様々な種類があり、
たんぱく質の含有量で軟質小麦(薄力粉) 中間質小麦(中力粉) 硬質小麦(強力粉)
と別れています。
グルテンとは
小麦粉に水を加えて練ると、粘りと弾力が生まれてきます。
その粘りの正体がグルテンです。
グルテンは、小麦粉に含まれる2種類のたんぱく質『グルテニン』『グリアジン』に水を加えて練る事で形成される、バネ状のたんぱく質結合の事で、粘性と弾性を合わせもっています。
パンを膨らませたり、うどんにコシを与えたりする、
とても重要な役割をもった物です。
たんぱく質の含有量によってグルテンを形成できる量も変わり、
薄力粉→中力粉→強力粉の順で含有量が増えていきます。
糊化(α化)と老化(β化)
小麦粉の主な主成分はデンプンであり、その中の『アミロペクチン』は通常の状態だと固い結晶状となっていますが、
これを『糊化』とよびます。
これを『老化』とよびます。
お米に例えると身近でわかりやすく、
水を加え加熱したお米は『ふっくらもちもち』していますが、
そのまま放置しておくとしなびて固くなります。これが糊化→老化です。
また、糊化状態で食べた際は消化しやすですが、老化状態だと消化しにくくなります。
お粥などはしっかり糊化している為、消化が良いのです。
例として、即席めん・せんべいなどがあります。
この2つの特性を知り上手く利用すると、
お菓子・パン作りをより上質なものへと導くことができます。
パンに食塩を加える
食塩は味付け以外に、グルテンの結合をより強くする効果もあり、
生地ダレを防ぎコシを強くすることができます。
小麦粉の1~2%が適量と言われていて、
量が多すぎると酵母の発酵を阻害し生地が膨らまなくなってしまう事があります。
パイやクッキーの生地は休ませてから『折る』『焼く』
まるで伸びきったバネのように。
その状態で焼くと伸びきったバネが元に戻る様に焼き縮みをおこしてしまいます。
また、パイ生地を休ませずに連続で折って伸ばそうとすると、伸びにくく、
グルテン結合を壊してしまいます。
生地を休ませることで、伸びきっていた結合部分が落ち着き、
焼成の際に焼き縮みがなくなり、パイ生地もスムーズに伸ばせるようになります。
休ませる時間はグルテンの量に比例して、目安ですが薄力粉は15~30分 強力粉は30~60分位となります。
卵黄やバターによる乳化作用
乳化とは、本来混ざり合うことがない水と油などをくっつけることをいいます。
その為に必要なものが乳化剤です。
乳化剤は、水とくっ付きやすい部位・油とくっ付きやすい部位 の両方をもった構造となっていて、水と油の間に入って、くっつける事が可能な物質です。
卵黄やバターが身近な乳化剤です。
焼きたてのパンはデンプンが糊化していて『しっとりフワフワ』していますが、
暫く放置しておくと老化して『硬くボソボソ』した状態になってしまいます。
材料に乳化剤を加えると、アミロペクチンと結合して水分を繋ぎ止め、
老化しにくい状態を作り『しっとりフワフワ』な状態を長く維持してくれます。
小麦粉を炒ってグルテンの形成を抑える
クッキーなどを崩れる様な食感にしたい時に使用する方法です。
粉の状態で炒ることによってたんぱく質を壊し、グルテンの形成を抑える事ができます。
スペインの伝統クッキーポルボロンなどを作る際に使う方法です。
油脂がグルテンに及ぼす影響
グルテンを形成する(生地を練る)際にサラダ油など常温で液状の油脂を加えると、
グルテンの弾力を弱めて生地の伸びがよくなりなます。
また、バターなど常温で固体の油脂を加えるとグルテンを分断し、
もろくサクサクした焼き上がりになります。
コローの一言
昔、職場でどちらの容器が強力粉か薄力粉なのか分からなくなる事がよくありました。
そんな時は、粉を握ってみて握った跡が付く方が強力粉です。
強力粉の方が粒子が荒い為に、握った跡が残るのです。
でも・・・容器に表示しとけって話ですよね(;´・ω・)
普段何気なく使用している小麦粉でも特性を理解し、それに合わせた調理法を行うと、自分の求めている仕上がりに近づく事ができます。
作り方の手順などに記してある事の、科学的な理由を知っていのと知らないのでは、
仕上がりの質も変わってくるものです。
1つの食材でもこれだけの特性があり、お菓子を構成する素材は他にも砂糖・卵・チョコレートなど沢山の素材があります。
それぞれに特性があるので、加工方法の組み合わせで、
より沢山の可能性が生まれてきます。
お菓子作りは奥が深いです。
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