『ハチミツの真実』私たちが普段に口にしている はちみつは偽物のはちみつ?ハチミツの不思議な効能

蜂蜜の採蜜

はちみつの真実

私たちが一般的に口にしている はちみつと古代より『万病の秘薬』とされいたハチミツは別物なのです。

一般的に販売されている はちみつの多くは、人口的なシロップが含まれ、多くの成分も失われてしまっています。

私はパティシエとして働いていた過去があり、お菓子の材料として はちみつは身近なものとしてあり続けていました。

スポンジやマドレーヌを焼く際に砂糖の一部を はちみつに置き換え、(※)シットリとした焼き上がりと風味を加える為に使っていました。
※はちみつは転化糖として とても優秀な材料です。

そんな環境に居たこともあって、人一倍 はちみつを口にすることが多かったのですが、それで特に体調が良くなったり疲れが取れるなどの実感が湧く事はありませんでした。

ハチミツの不思議な効果

2024年の秋頃、山奥を車で通りぬけていた際にハチミツの暖簾が掛かったお店が目に入ったので ふと寄ってみました。

山のはちみつ

どうやら養蜂所兼お店となっているようで、様々な種類のハチミツが並べられていました。

山のはちみつ店内

「マドレーヌにこのハチミツを使って焼けば、更に美味しくなるかなぁ」なんて考え 一瓶買って帰ることに。

購入したのは アカシアの花から採れたハチミツで、スプーンですくって食べると私の知っている はちみつとは明らかな違いがありました。
香りと風味が豊で、何より舌ざわりがとても滑らか。

ただ そのハチミツでマドレーヌを焼いて食べてみたのですが、
「私程度の舌では違いがよくわからない・・」

「うーん 普通のはちみつを使って作ったものと同時に食べ比べてみれば!」(`・ω・´)キリッ
「・・さすがにそこまでするのは面倒くさい。」(´-ω-`)

と、これでこの件は終わったと思っていた頃。

この時期 仕事の繁忙期ということもあり、家に帰ると倒れるように眠ってしまっていた私でしたが、なぜか帰っても体力と気力に余裕ができる不思議な現象が起きるように。

これは例のハチミツを朝ひとさじ食べるようにしていた期間とかさなっていたのです。
それはエナジードリンクの様な強烈な効果とは少し違い、自然に優しく力が湧いてくる感じでした。

そんな事があり、不思議な効果のあるハチミツと効果を感じなかったはちみつの違いについて調べてみることにしました。
※はちみつの効果は個人差もあるようです。


ハチミツとは

ハチミツとは蜜蜂が集めてきた花の蜜を熟成させて作った彼らの保存食料です。

ハチミツ画像

集めてきたばかりの花の蜜はショ糖(二糖類)なのですが、蜜蜂のもつ酵素によってブドウ糖果糖(単糖類)に分解されます。
さらに羽ばたきと体温により水分を飛ばし、糖度が80度程になるとハチミツの完成です。

ブドウ糖と果糖は私達人間が食事を採り、時間とエネルギーを使って作る これ以上分解する必要のない最小単位のエネルギー源です。
他にもビタミン・ミネラル・アミノ酸など豊富な栄養を含むスーパーフードなのです。

蜂蜜が出来上がるまで

蜂蜜が人の手に届くまでは、蜂が蜜を作る工程と、人がそれを加工する2工程があります。
蜂が行なう工程は上記の【ハチミツとは】の項目で紹介したので、ここでは人が加工する工程を紹介します。

蜂蜜の加工は非加熱法と加熱法の2種類あります。

非加熱と加熱

非加熱製法は蜜蜂が作った蜂蜜をほぼそのまま瓶詰めする製法です。
蜜の詰まった巣を遠心分離機にかけ、ハチミツを取り出し変質しない温度40℃以下に温め、フィルターで濾して不純物を取り除き瓶詰めします。
※ハチミツにダメージを与えない範囲の温度調整は行う場合があります。

蜂蜜の遠心分離機

良い点
・ハチミツの持つ様々な成分がそのまま残るので、食べると様々な効能がある。
・ハチミツ本来の香りと風味がある。

悪い点
・ハチミツの温度が低めだと流動性も低くなり、目の細かいフィルターには通せず微細な花粉などが残り、それによりアレルギー反応を引き起こしてしまう可能性がある。
・手間がかかり大量生産できなく価格が高い。

蜂蜜を高温で加熱殺菌して微細なフィルターに通してから容器に詰める製法です。
海外などから仕入れた糖度の低い蜂蜜を減圧濃縮窯などで加熱殺菌を行いながら糖度を高め、微細なフィルターで濾して不純物をほぼ除去します。(高温になると流動性が高くなり細かいフィルターも通せるようになります。)

良い点
・加熱殺菌と高い不純物の除去工程があり、アレルギー反応などを起こす可能性が低く安全性が高い。
・蜂蜜は海外から仕入れるとコストが安くなる場合が多く、大量生産もでき手頃な価格で購入できる。

悪い点
・蜂蜜が本来もつ酵素やビタミンは失われてしまう。

※ボツリヌス菌は加熱しても死滅しにくいので、加熱はちみつであっても幼児には食べさせてはいけません。


ハチミツの種類と特徴

種類

ハチミツは大きく分けると単花蜜百花蜜に分かれます。

菜の花と蜜蜂
単花蜜(たんかみつ)

1種類の蜜源から作られるハチミツ。

セイヨウミツバチの群は同じ蜜源から蜜を採取する習性があり、蜜蜂の行動範囲は約3km以内となっていて、その範囲に同じ蜜源が多いと単花蜜となる。

国内でよく見かける種類はアカシアやレンゲ、桜などですが、その種類は蜜が採れる花の数だけ存在します。

百花蜜(ひゃっかみつ)

複数の種類の蜜源から作られるハチミツ。

日本ミツバチの群は複数の蜜源から蜜を採取する習性があり、採れるハチミツは百花蜜となる。
セイヨウミツバチでも行動範囲以内に蜜源が少なくなると複数の蜜源から採取するようになるので百花蜜となることもある。

ハチミツは固まる

ハチミツは寒い場所に置いておく固まってしまいます。
15℃以下の温度になるとハチミツの中に含まれるブドウ糖が花粉や気泡を核にして固まりはじめてしまいます。

固まったはちみつ

固まったハチミツを元に戻すには、40℃程の湯煎にかながら、ゆっくり混ぜてあげると元の液状にもどります。

その際、熱のつけ過ぎには注意してください。
ハチミツに含まれる酵素などの成分は45℃以上になると段々と失われていってしまうからです。

【固まりやすい種類と固まりくい種類がある
ハチミツにはブドウ糖以外に果糖も含まれており、果糖はブドウ糖と比べると固まりにくい性質があります。

この2つの糖の割合はハチミツの種類によって変わってきます。

(例)

アカシアの花

アカシアの場合 【ブドウ糖4:果糖6】

レンゲの花


レンゲの場合  【ブドウ糖5:果糖5】

よって アカシアよりレンゲのハチミツのが固まりやすいのです。

【加工する際にシロップなどを加えて固まらないようにしている製品もあります。】

●ハチミツは腐らない

ハチミツは基本腐る事はありません。

ハチミツは80%以上の糖分20%以下の水分となっいているので、高い浸透圧が発生し、その中では細菌は生存することが出来ないのです。
海外では遺跡から出土した数千年前のハチミツが、今でも鮮度を保ったままだっと言う話もあります。

ですのでハチミツは基本腐りません。

ただし、市場に出回っている はちみつは人の手が加えられている物が多く、その性質が失われているものが多くあります。
そういった はちみつは表示されている期限を正しく守ってください。


ハチミツの効能

ハチミツの効能はブドウ糖と果糖によるものが大きい。

コムハニー

ハチミツに含まれる 純粋なブドウ糖と果糖は、体に取り入れると すぐさまエネルギー【ATD(アデノシン三リン酸)】と変換され、またそれを促す栄養素も多く含まれていりので疲労回復の効果が出るのです。
継続して食べ続けると体内の代謝が正常化され、肥満の解消や成人病予防の効果もあります。
※食べすぎると肝臓に負担がかかってしまうので、一日大さじ1~2杯が適量と言われています。

ハチミツの種類で効能も変わる

ハチミツの効能は蜜源によって変わる部分もあります。

栗などの褐色系のハチミツには鉄分などのミネラルが多く含まれ、血圧を安定させる効果があります。

マヌカハニーには高い抗菌作用があったり、ワイルドハニーと呼ばれる野生の蜜蜂から採取するハチミツには幻覚を見たりする種類もあります。

ハチミツの効能は採蜜する蜜源で変わり、種類と組み合わせによりほぼ無限にあります。


偽物のはちみつ?

養蜂家は蜜蜂に砂糖液を与える時期があります。
日本の場合、厳冬期になると蜜源が乏しくなり、蜜蜂たちは食料の調達が出来なくなり飢えてしまいます。
その際、養蜂家は砂糖を水に溶かした糖液を餌として与えて越冬させるのです。
そうすると巣の中に砂糖水から出来た蜂蜜がたまってしまいますが、春先にその蜜を取り払い 新たに花蜜から作るハチミツをためていきます。
これは養蜂の基本といってもよい方法です。

ですが、中にはそれを過剰に利用した養蜂家も存在しているのです。
蜜源の量に対して過剰な数の蜜蜂を飼育し、足りない蜜源は安価な異性化液糖(トウモロコシなどから作った人工シロップ)で補い、蜜蜂が熟成させる前に採蜜します。

異性化液糖

こうすることで収穫量と回転率を増やしているのです。
現在の日本の食品表示ルールだと、こういった はちみつも「純粋はちみつ」と表記されてしまいます。

『純粋はちみつ』とは蜜蜂が作った蜂蜜のみを使用して作られた無添加の蜂蜜。
工場で添加物を加えたものは『加工はちみつ』などの表示がされています。


ただし、製品に影響が出ない範囲の添加物は『食品添加物のキャリーオーバー』により、表示する必要が無いという曖昧に思えるルールもあります。


本物のハチミツはどこで買えるのか

養蜂家が直接経営するお店で購入するのが自分に合った物を紹介してもらえるという事もあり、いちばん良いのですが、そんなお店はなかなかありません。
なので、全国から集めたハチミツを販売しているような専門店で、生産者の情報がしっかり開示されているものを選ぶとよいでしょう。

また養蜂家がインターネットで運営しているECサイトなども良いかと思います。

コローの一言

今回 蜂蜜について色々調べ、たどり着いた私なりの結論になります。

一般的に販売されている はちみつは『偽物のはちみつ』と表現されることがありますが、何処でも買えてリーズナブル、そして子供の頃から食べている当たり前の味なので、私にとっては「普通のはちみつ」です。

そして今回 私が出会った 無添加非加熱のハチミツは「特別なハチミツ」と表現するのが良いかと。

ほぼ自然の恵みのみで作られた 特別なハチミツというのは、とても希少で世界的にみても流通量は少なく高価なものになり、それを見分けるのも難しくなっています。

お菓子作りの視点からみると

焼き菓子
普通のはちみつがおすすめ
普通のはちみつは工場で果糖の割合を多めに調整しているものがあり、焼き菓子にとって重要な焼き戻りの効果が良く出てくれます。
焼き菓子は加熱工程があるので特別なハチミツを使用するとその特徴が活かしきれない。

生菓子
加熱工程のない部分に特別なハチミツを使えば、その効能と風味を活かして特別な一品になるかもしれません。
ハチミツの様々な効能を活かして『お菓子の処方箋』なんて夢がありますね (*˘︶˘*).。.:*


最後に、今回 特別なハチミツとの出会いとこの記事を書くきっかけをいただいた
『山のはちみつさん』に感謝いたします。

山のはちみつのアカシアと菜の花のハチミツ
店舗情報

山のはちみつ
所在地: 〒252-0186 神奈川県相模原市緑区牧野3082
営業日:金・土・日 10:00~17:00
電話番号:042-689-2882






コメント